企業経営の組織/人事マネジメントを考える
 
 
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  No14.適正人員算出方法の一例 ※関連ページ 【組織マネジメントへのアプローチ】
 
       
   レジュメ
  労働生産性の視点から全社適正人員の算出方法と検証留意点及び部門別
  適正人員の算出方法について解説いたします。
 
    1.全社適正人員の算出方法の一例
    2.算出適正人員の検証留意点
    3.部門別適正人員算出方法の一例
 
  
    
  1.労働生産性から見た全社適正人員の算出方法の一例
 
    
   1)労働生産性の計算式

    中小企業庁方式で付加価値を売上高総利益としますと労働生産性は次のようになります
 
         000000
×

 
 
   2)参照統計データ/「中小企業庁:中小企業実態基本調査(平成21年度版)」より

    シミュレーションのベースを以下のデータとします

                                               (金額単位:百万円)
        

     ※-1. 従業者数には非正規雇用を含み労働分配率には教育費を含んで計算しています。
 
     ※-2. 中小企業の各種経営指標は「お役立ちデータ提供」でダウンロードできます。

 
 
   3)算出シミュレーション

    (1) 現状チェック … 卸売業での例示で①②③は任意の仮定値です。
 
              ①売上高を確認する ⇒ 4,678.538百万
②売上高総利益を確認する⇒   701.752百万
③従業者数を確認する⇒ 95人
④労働生産性 ⇒ ②/③≒ 7.387百万円
⑤売上高総利益率 ⇒ ②/①≒15.00%
⑥1人あたり売上高⇒ ①/③≒49.248百万円

       ◆ この例では「労働生産性」「売上高総利益率」「1人あたり売上高」とも卸売業平均より
         低く人員過剰の状態にあります。

    (2) シミュレーション

      条件1.売上高と売上高総利益率を現状のままにして労働生産性を業種平均まで高めた
           場合

            適正人員 ⇒ (1)②/8.650≒81.127人

      条件2.売上高を現状のままで売上高総利益率を15.50%にし労働生産性を業種平均まで
            高めた場合

           適正人員 ⇒ (1)①×15.50%/8.650≒83.835人

      条件3.売上高を5%UP、売上高総利益率を18.00%にし労働生産性を業種平均よりも10%
           増しの場合

           適正人員 ⇒ (1)①×1.05×18.00%/(8.650×1.10)≒92.932人
 
 
 
    
  2.算出適正人員の検証留意点
 
    労働生産性が適正値でも所定営業利益が確保できていない状態では適正人員とはいえません。
    このため労働生産性から算出した適正人員で所定営業利益が確保できていない場合は以下の
    対応が必要となります。
 
    
    1)当該適正人員に係る労働分配率が過大である場合の対応

      (1) 人員はそのままで人件費水準を調整することにより労働分配率を適正化して営業利益
       を確保する。

     (2) 人員削減ないし非正規雇用で人件費の絶対額を調整することにより労働分配率を適正
       化して営業利益を確保する。

     (3) 労働分配率はそのままにして人件費以外の販管費を合理化することにより営業利益を
               確保する。

     (4) 人員・人件費はそのままで売上総利益自体を増やすことにより労働分配率を適正化して
               営業利益を確保する。
 
 
    2)当該適正人員に係る労働分配率が過小または適正である場合の対応

      (1) 過小で賃金・福利厚生費の水準が世間相場より低い場合は労働分配率の適正値を
              上限として水準を改定しモラール・モチベーションアップにより労働生産性を向上させる。

     (2) 適正である場合は人件費以外の販管費を合理化する。
 
 
 
    
  3.部門別適正人員算出方法の一例
 
    部門別適正人員を考える時、各部門の業務量を分析してしてこれを算出する方法もあるようです
         が、業務の必要性や業務量の
妥当性、個々人の業務処理能力、賃金水準等不確定要素が多く、
         時間がかかる割に現実味ない … もっと簡便な方法はないものか、という相談を受けることがあ
         ります。 

    簡便法としては全社人件費を部門別に配賦してその額を平均賃金水準で割って人員を算出する
    方法があります。
 
    
    <計算方法例>
 
   
 1)全社人件費100%の配賦係数を製造部門X、営業部門Y、管理部門Zとする。

   (1) 製造部門Xの係数論拠

     原価機能として係数を(1-粗利益率)とする。

     例)粗利益率が20%であれば係数は(1-20%)=0.80

   (2) 営業部門Yと管理部門Zの合計係数論拠

     販管費機能として合計係数を(粗利益率-営業利益率)とする。

     例)営業利益率が4%であれば合計係数は(20%-4%)=0.16

   (3) 管理部門Zの係数論拠

     管理機能として係数を(営業部門Y×スパンオブコントロール比率)とする。

     例)スパンオブコントロール比率が1/7であれば係数は(Y×1/7)=Y/7

   (4) 営業部門Yと管理部門Zの係数算出
      
     例)Y+Z=0.16、Y=0.16-Z、Z=Y/7  ∴ Y=0.14、Z=0.02
 

 2)係数比から配賦率を算出する。

    X:Y:Z ⇒ 0.80:0.16:0.02 ⇒ 全体を100%として X≒83%:Y≒15%:Z≒2% となります。

   但し、X=83%は製造部門内管理セクションの人件費を含みます。
   因みに管理セクションのスパンオブコントロール比率を1/7とした場合、管理セクション
      への配賦は83%×1/7≒12%となります。
 

 3)部門別人員を算出する。

   部門別適正人員=(全体人件費×当該部門の配賦率)/平均賃金水準
 
   ※実際の人員がこれを上回っている場合は適正労働分配率を考慮した売上・粗利益の
     改善ないし人員数または賃金水準の合理化が必要とされます。

 
 
    
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  <関係参考ページ>

    VOL.5/労働生産性マネジメント
    中小企業のP/L指標

    中小企業のB/S指標
    中小企業の労働指標
    中小企業P/L数値の推移
    中小企業B/S数値の推移
    収益性とモチベーションを保全する賃金管理制度のメンテナンス
   
 
 
 
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