企業経営の組織/人事マネジメントを考える
 
 
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 No12.評定誤差の把握と改善対策

 
       
   レジュメ
  評定誤差の現象と誤差の蓋然性及びその原因と改善対策について解説
  いたします。
 
       1.ハロ-効果
2.対比誤差
3.寛大化傾向/厳格化傾向
4.中心化傾向
   5.近接誤差
6.論理誤差
7.逆算化傾向
8.期末効果
 
    
  視点
 
    評定誤差の防止対応は評価者研修では必須学習事項となっていますが、実際に評定誤差を
    検証して改善対応をとっている会社は残念ながら殆どなく、精々、得点分布にバラツキがある
    場合にこれを調整する程度で結果として評価機能不全の一因となっています。

 
    評定誤差は評価者の価値観や意識に由来する部分もあり、これを完全に解消することはでき
    ないので調整で処理すればよしとする考えも一理ありますが誤まった評価とこれに基くマネジ
    メントの弊害を考えますと(完全な解消はムリにしても)評価者に注意を促すだけではなく人事
    主管部署としてもこれを可能な範囲で改善していく必要があります。

    以下、評定誤差のパターンごとにその現象と蓋然性及び原因と改善対策について一例を解説
    いた
し ます

 
 
 
    
   1.ハロ-効果(ハロ-:halo=後光、背光、威光で目が眩み実態を見誤まる)

    
   1)現象と誤差の蓋然性
 
     一部の評価項目に対する評価が優れていたり逆に劣っている場合にその印象から他の評価 
     項目まで同様に評価してしまう所謂 『痘痕も笑窪、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』 といった現象
     で当該評価者の採点において特定評価項目素点が高め又は低めの同点数になっていたり、
     被評価者の大半においてこの傾向が見られる場合に誤差の蓋然性があります

 
 
   2)原因と改善対策
 
     評価者が被評価者に適用される評価項目の内容と評価基準を大雑把にしか把握していない
     場合に発生し易いので人事主管部署は評価者にそうしたことがないように注意を促すととも
     に以下の事項を点検・補正する必要があります。

     (1) 評価項目数が多過ぎないか(業績、能力・情意を合せて10項目を超えていないか)
     (2) 評価基準に解釈の多様性を招来する曖昧さがないか 
     (3) 被評価者の人数が多過ぎない(直接被評価者が10人を超えていないか)
     (4) 蓋然性がある場合に評価者本人に評価の根拠を確認しているか
 
 
 
    
   2.対比誤差

    
   1)現象と誤差の蓋然性
 
     評価者自身の経験や実績を基準にして評価する結果、評価者が得意とする部分は辛く苦手
     な部分は甘く評価してしまう現象で当該評価者の採点において前任者評価との乖離が大き
     い場合や同等級被評価者の標準評価値との乖離が大きい場合に誤差の蓋然性があります

 
 
   2)原因と改善対策
 
     人は他人を評価する場合、一般的傾向として自分自身に経験・実績のある得意なことに関し
     ては辛く、逆にこれがない場合や苦手なことに関しては甘く評価しがちなので人事主管部署
     は評価者にそうしたことがないように注意を促すとともに以下の事項を点検・補正する必要
     があります。

     (1) 異動に際して前任者評価の内容と根拠を確認させているか
     (2) 被評価者の役割と行動要件を明示しているか
     (3) 被評価者に適用される評価項目の内容はその役割と行動要件に整合しているか
     (4) 評価基準に解釈の多様性を招来する曖昧さがないか
     (5) 蓋然性がある場合に評価者本人に評価の根拠を確認しているか
 
 
 
    
   3.寛大化傾向/厳格化傾向

    
   1)現象と誤差の蓋然性
 
     採点が実態より高過ぎたり低過ぎる現象で当該評価者の採点が被評価者の大半において
     全評価者の平均点より高過ぎたり低過ぎる場合や被評価者自己評価との乖離が大きい場
     合に誤差の蓋然性があります
。 
 
 
   2)原因と改善対策
 
     ハロー効果や対比誤差の結果として発生する他、当期以前の評価実績を踏襲したり被評価
     者に対する好感情・悪感情を以って評価する場合に発生し易いので人事主管部署は評価者 
     にそうしたことがないように注意を促すとともに以下の事項を点検・補正する必要があります。

     (1) 評価対象となる業績要件の難易性は被評価者のミッションに比較して妥当であるか
     (2) 加減点の許容範囲と実施基準は妥当であるか
     (3) 評価基準に解釈の多様性を招来する曖昧さがないか 
     (4) 蓋然性がある場合に評価者本人に評価の根拠を確認しているか
 
 
 
 
    
   4.中心化傾向

    
   1)現象と誤差の蓋然性
 
     素点評価が中位段階に集中する現象で当該評価者のつけた各評価項目素点が評価項目の
     大半において中位段階に集中していたり被評価者の大半においてこの傾向が見られる場合
     に誤差の蓋然性があります

 
 
   2)原因と改善対策
 
     評価者が心理的に評価作業を忌避したり被評価者や上位評価者への思惑を優先させる場合
     に発生し易いので人事主管部署は評価者にそうしたことがないように注意を促すとともに以 
     下の事項を点検・補正する必要があります。

     (1) 被評価者に対して期中の点検・フォローが遺漏なく行われいるか
     (2) 評価項目数が多過ぎないか(業績、能力・情意を合せて10項目を超えていないか)
     (3) 被評価者の人数が多過ぎない(直接被評価者が10人を超えていないか)
     (4) 蓋然性がある場合に評価者本人に評価の根拠を確認しているか
 
 
 
    
   5近接誤差

    
   1)現象と誤差の蓋然性
 
     人事評価シートに近接表記されている評価項目の素点が同一となる現象で当該評価者に
     係る被評価者の大半においてこの傾向が見られる場合に誤差の蓋然性があります

 
 
   2)原因と改善対策
 
     評価の根拠となる事実をよく把握・整理せず、時間的に余裕のない状態で記入する場合に
     発生し易いので人事主管部署は評価者にそうしたことがないように注意を促すとともに以下
     の事項を点検・補正する必要があります。
 
     (1) 人事評価シートの作成提出期限に問題はないか
     (2) 人事評価シートや記入欄の色分け等誤記入防止対策をとっているか
     (3) 蓋然性がある場合に評価者本人に評価の根拠を確認しているか
 
 
 
    
   6.論理誤差

    
   1)現象と誤差の蓋然性
 
     「☆☆☆ができていれば(いなければ)★★★もできている(いない)はずだ」と思い込みで
     評価してしまう現象で当該評価者に係る被評価者の大半において特定評価項目間に素点
     の同一性が見られる場合に誤差の蓋然性があります

 
 
   2)原因と改善対策
 
      評価項目間の必要性と意味の区別がついていない場合に発生し易いので人事主管部署は
      評価者にそうしたことがないように注意を促すとともに以下の事項を点検・補正する必要が
      あります。
 
 
      (1) 評価項目数が多過ぎないか(業績、能力・情意を合せて10項目を超えていないか)
      (2) 評価項目間の相違が明確に判るように明文化されているか
      (3) 評価基準に解釈の多様性を招来する曖昧さがないか
      (4) 蓋然性がある場合に評価者本人に評価の根拠を確認しているか
 
 
 
    
   7.逆算化傾向

    
   1)現象と誤差の蓋然性
 
     最初に評価ランクや総合得点を決め、ここから逆算して各評価項目の素点を捏造する現象
     で当該評価者に係る被評価者の大半において前期に比べた総合得点や各評価項目素点
     に変化がない場合、前期比20点以上の増加によって評価ランクが上昇している場合に誤差
     の蓋然性があります

 
 
   2)原因と改善対策
 
     評価者が心理的に評価作業を忌避したり被評価者や上位評価者への思惑を優先させる場合
     に発生し易いので人事主管部署は評価者にそうしたことがないように注意を促すとともに以
     下の事項を点検・補正する必要があります。

     (1) 評価対象となる業績要件の内容やレベルは前期に比べて向上しているか
     (2) 被評価者に対する期中の点検・フォローが行われているか
     (3) 蓋然性がある場合に評価者本人に評価の根拠を確認しているか
 
 
 
    
   8.期末効果

    
   1)現象と誤差の蓋然性
 
     特に能力・情意評価において「終わり良ければ(悪ければ)全て良し(悪し)」とする現象で
     評価項目素点が毎回前期と異なったり自己評価との乖離が大きい場合に誤差の蓋然性
     があります

 
 
   2)原因と改善対策
 
     被評価者に対する日常の点検・フォローが不十分な場合に発生し易いので人事主管部署は
     評価者にそうしたことがないように注意を促すとともに以下の事項を点検・補正する必要が
     あります。
 
     (1) 被評価者に対する期中の点検・フォローが行われているか
     (2) 期中評価の備忘録を取らせる仕組みになっておりその実践に問題はないか
     (3) 蓋然性がある場合に評価者本人に評価の根拠を確認しているか
 
 
 
    
 

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  代表:中小企業診断士;社会保険労務士髙桒一也(タカクワカズヤ)
  
〒170-0005 東京都豊島区南大塚1-21-11 ジェイシティ南大塚503
  TEL・FAX : 03-5976-2541  
E-mail :ta2902@isis.ocn.ne.jp 
 

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  <関係参考ページ>

    人事評価者研修テキスト 
   
人事評価システムの機能化対応
    人事評価スキル診断シート
    人事評価結果の調整方法
    評価者研修ケーススタディ①
    評価者研修ケーススタディ②
    評価者研修ケーススタディ③
    評価者研修ケーススタディ④
    業績向上と人材育成につながる人事評価者研修
 
 
 
 
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