企業経営の組織/人事マネジメントを考える
 
 
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 No10.目標管理の機能化対応(1/3:目標設定時の対応)

 
       
   レジュメ
  目標管理をしているのに何故組織業績の改善/向上につながらないのか。
  ここでは目標設定時点での機能不全原因と改善ポイントについて事例解説
  いたします。
 
    1.組織戦略目標の構築ポイント
    2.目標内容と達成方法に関する点検/補正ポイント
    3.目標設定のFAQ
 
    
  視点
 
    目標設定時に留意すべき機能不全の原因は次の2点です。

     ● 組織の戦略目標を構築しないで個々の職位目標を先行させてしまう

       例えば、営業部門で個々職位の数値目標やその達成対策を管理してもこれがコンペティター
       に負けない営業力を維持・強化していくために組織として職位として何をしていくかという戦略
       対応と連鎖していなければ部門のミッションは担保できません。

     ● 目標の内容と達成方法の妥当性を点検/補正しない

       目標内容に具体性がなくレベルに過不足がある、達成対策の遺漏や実施スケジュールのムリ
        ・ムダがある、こうしたことを点検/補正しないで目標管理をしても的確な進捗管理と評価が
       できないため目標管理は破綻します

 
 
 
    
   1.組織戦略目標の構築ポイント

     組織の戦略目標をそのミッションと整合させて構築するために以下の対応をとります。

     1)単位組織のミッションと分掌業務の定義

      組織のミッションと分掌業務が各管理職の個人的見解で左右されることがないよう全社マネジメ
      ントの視点からこれを規程化して開示/教育する。

     2)戦略目標構築方法の定義

      戦略目標の構築が各管理職の我流で行われないよう全社マネジメントの視点からその方法を
      規程化して開示/教育する。

     3)職位目標へのブレイクダウン

      確定した戦略目標を各職位のミッションと担当業務に応じて職位目標に具体化する。
 
     <組織戦略目標構築方法の参考事例>

       営業部門のプロセス目標
       総務人事部門の目標設定
       SWOT分析の展開事例
 
 
   2.目標内容と達成方法に関する点検/補正ポイント

     職位目標の内容と達成方法の点検/補正では以下の点を押えます。

     1)目標内容の具体性

       目標の達成度を客観的に測定できるようになるべく金額・率・件数・時間等定量的表記とし、
       定量的表記になじまない定性目標では「*****という状態にする」というように目標に取組む
       結果、どのような状態になるのか、その変化の内容を具体的に表記します。

       定性目標例:チームメンバーに対するOJTの活性化

          **業務に関するOJTニーズが整理された状態にする
          **業務に関するOJT計画が整理された状態にする
          **に関する商品知識が修得された状態にする  … etc.

     2)目標レベルの過不足

       最低限ここまではやってもらわないと組織目標自体の達成度評価が5段階評価で中位の3を
       維持できない、いわば必達レベルをベースとし状況に応じてプラスαのレベル(組織目標達成度   
       の5段階評価でいえば4のレベル)とします。

     3)達成方法の具体性

       目標達成に向けて努力工夫するといった曖昧なものではなく、努力工夫の内容を 実践の有無
       が客観的に把握できる具体的な作業項目として列記させます。

          例 :× 売上目標達成に向けて努力する

            ○ 顧客別販促対策を整理・実行する
            ○ 重点顧客への訪問頻度を上げる
            ○ 新規商材拡販ターゲットをリストアップする … etc.

          例 :× **業務に関するOJTニーズの整理に向けて頑張る

            ○ **業務の遂行に必要な知識、スキルをリストアップする
            ○ リストに基いて充足プライオリティを整理する
            ○ 充足レベルを決める … etc.

     4)達成方法の実効性

       列記された作業項目について以下の視点から点検/補正します。

       (1) 実践が可能であるか
       (2) それより効果的な方法が他にないか
       (3) 必要内容に漏れがないか
       (4) 不要不急内容が混在していないか

     5)達成方法の実行スケジュール

       実行スケジュールは対策実施の時期・期間を表記させ以下の視点から点検/補正します。

       (1) 各対策の実施プライオリティが考慮されているか
       (2) 実施時期が早すぎたり、遅すぎることはないか
       (3) 時期に過度の集中や分散がないか
       (4) 実施期間が長すぎたり、短すぎることはないか


     <定性目標設定方法の参考事例>

       定性目標の設定方法と評価基準
 
 
   3.目標設定のFAQ

     目標管理に関してよくある質問と回答をご紹介します

     1)目標の数はいくつくらいがよいのか?

       もともとが重点管理であり、5項目を超えると(部下の人数や管理職のスキルにもよりますが)
       物理的に管理できないため3項目から5項目で統一しているケースが一般的です。

       中には目標数の上限を設けなかったり、一定項目数を超える部分は加点対象とするケースも
       あるようですが評価点のバラツキを助長したり安直な目標を誘発するので避けた方がよいと
       思います。

     2)他の仕事は手抜きをして目標管理の対象となる目標で達成度が高かった場合でもそれを認め
       なければならないのか?

       そのようなことが放置されること自体、想像しずらいことですが高い達成度が事実であれば業績
       評価ではこれを認めざるを得ません。

       但し、他の仕事は手抜きをしていたという点は能力評価や情意評価の対象となるので総合評価
       点で見れば業績評価の高得点がそのまま反映されることはありません。

       また、政策理論的には目標管理は他の仕事を手抜きして特定目標だけを達成した者を遇する
       ための制度ではありませんのでそうした特異な点は評価特記事項として上位評価者ないし最終
       裁定者の調整に委ねるという考え方もあります。

     3)部下の作った目標を変更したり部下が目標を作れない場合に管理職が作った目標を指示する
       ことができるのか、そのようなことをすれば「目標による管理」の趣旨に反するのではないか?

       結論として可能です。
       理由は2点です。

       第1点は「目標による管理」は目標作成能力を前提としており、目標を作れない、ある いは作れ
       ても問題があるといったことを放置し、業務停滞を惹き起すことを前提とはしていないこと。

       第2点は部下の目標達成の影響を受ける組織目標の達成は管理職の責任となるので部下の
       作った目標を変更する、部下が目標を作れない場合に管理職がこれを作り指示することは責任
       に対応する権限として認められます。

       但し、変更・代作が可能であるということと、これが部下に受容されることとは別の話です。
 
       変更に際しては部下が目標を作った努力を認めた上で変更の必要性、メリットを説明する、代作
       は目標の作り方をよく教えてそれでもできない場合にそうした状態がもたらす悪影響を理解させ
       代作した目標内容を本人によく説明する、等ワンクッションをおいてから行う必要があります。

     4)ルーチンワークのベテランでこれ以上何かの知識やスキルを修得したり改善することがない
       場合はどのように目標を設定するのか?

       本人の知識・スキルを後輩に伝承する、現行ルーチンワークの他に新たな職務を付加する、
       異動して新たな職務を担当させる、現行ルーチンワークのハイレベルを維持する、の4点から
       状況に応じて選択していただきます。

     5)各部署間で目標内容や難易度に格差があるのは人事評価との連動上、不公平ではないか?

       各部署の成果目標やその達成対策はそれぞれの部署の機能に応じて異なりこれを受けて作ら 
       れる職位の目標もどの部署どの職位でも全員同じというわけにはいかず、結果として各部署や
       職位間で目標の内容や難易度に格差が生じることはやむを得ません。

       人事評価との関係ではどの部署でも統一ルールで目標を設定し評価を行うという平等性の担保
       が問題であり特定部署でこれを守らず安直な目標になったり、評価に寛大化・厳格化傾向を生じ
       る、といったことがないようにすることが現実的な対応となります。
 
 
    
 

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   組織業績の改善/向上を支えるべき目標管理が非管理職・管理職双方からオミットされ本来
   の機能を果たせず形式的な査定ツールに劣化していくのは何故か … 。
 
   構造的劣化原因を踏まえた的確なメンテナンスをしましょう。 
 
    

ご案内

  
  ソリューション視点
   
  ■ 組織と職位のミッションに整合した意味のある目標を設定できる

  ■ 的確な達成プロセス管理ができる
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   ご相談/お問合せ
 
        企業経営の組織/人事マネジメントを考える 戦略目標管理研究会
 
  代表:中小企業診断士;社会保険労務士髙桒一也(タカクワカズヤ)
  
〒170-0005 東京都豊島区南大塚1-21-11 ジェイシティ南大塚503
  TEL・FAX : 03-5976-2541  
E-mail :ta2902@isis.ocn.ne.jp 
 

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  <関係参考ページ>
 
    人事評価者研修テキスト
    目標管理の機能化対応 2/3(プロセス管理時の対応)
    目標管理の機能化対応 3/3(評価・フィードバック時の対応)
    管理職の組織目標管理力を高める目標管理スキルアップ研修

 
 

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