企業経営の組織/人事マネジメントを考える
 
 
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  No35.コンピテンシーの事例と活用ポイント

 
         
   レジュメ
   コンピテンシーマネジメントの有用性はハイパフォーマーの行動特性をベンチ
   マークして業績向上につながる行動規範を可視化する点にあります。

   ここでは『人間関係構築力』を例にとってコンピテンシーの事例と活用ポイント
   を解説し、その他いくつかのコンピテンシー事例をご紹介いたします。

   cf.エンプロイアビリティを高める職位階層別コンピテンシーリスト 
  
      
    1.『人間関係構築力』のコンピテンシー事例と活用ポイント

     
  1)コンピテンシーの事例
 
    
(1) 定義

       自分が必要とする(される)人間関係を積極的に構築/保持する能力。

    (2) 行動特性事例

       ① 相手の短所より長所を把握するようにしている。
       ② 相手の長所を誉めたりこれを伸ばすように努めている。
       ③ 自分が相手に与えられるメリットを考えて行動している。
       ④ 相手に応じた話題を持ち積極的に話題提供のコミュニケ-ションをとっている。
       ⑤ 自分が相手に受け容れられるセ-ルスポイントを増やすための自己啓発をしている。


  2)活用ポイント

    (1) 人事評価への活用

       行動実践度の素点評価基準とウエイトを定めこれを掛け合せて得点を算出します。

       ① 素点評価基準例/5段階

         1点 = 実践がなく指摘・指導をしても改善されなかった。
         2点 = 実践はあったが遺漏や遅れがあった。
         3点 = 実践は遺漏や遅れがなく行われた。
         4点 = 実践は適宜創意工夫して効果的に行われた。
         5点 = 実践は適宜創意工夫して効果的に行われ業務成果につながった。

  
     ② 得点算出例

        

         得点=ウエイト×素点
         ウエイト合計を20、素点評価を5段階にすると100点満点になります。

    (2) 教育研修への活用

       これが不充分な場合のデメリットと効果的な実践留意点を示しケーススタディによる理解
       促進を図り受講後の実務実戦に展開します。

       ① デメリットの説明ポイント

         当該行動特性が実践されない場合や逆の場合に生じる影響を自分自身に置換えて
         自覚してもらいます。

         例:あなたは以下のような場合どのような気持ちになりますか。

          ◆ 自分の長所に気付かなかったり気付こうとせず短所ばかりを指摘される。
          ◆ 上司が自分の長所を認めてくれない、これを伸ばそうともしてくれない。
          ◆ 自分にはメリットを与えてくれず相手のメリットだけを要求される。
          ◆ 一緒にいても話題がない、話がつまらない。
          ◆ いつも相手のペースで新鮮味がなく付き合ってもメリットも面白味もない。

       ② 実践留意点の説明ポイント

         当該行動特性を効果的に実践する際の留意点を把握してもらいます。

          ◆ 相手の長所によって生じるメリットを列記してみる。
          ◆ メリットが生じた時に本人にわかるように直接ないし間接的に誉める。
          ◆ 相手ないし相手の影響下にある者へのメリットを列記してみる。
          ◆ 相手の仕事・趣味・嗜好・人間関係等について相手の関心事を列記してみる。
          ◆ 相手が快・不快に感じることを列記してみる。

       ③ ケーススタディのポイント

         <デメリットに関して>

          ◆ GWによる共通認識の形成

            PWで各人の認識を整理した後GWで相互発表し確認と気付きを促進します。

          ◆ 正誤判定方式による客観的分析

            誤まった対応事例を分析してその影響と本来の正しい対応方法を整理することに
            より理解形成を促進します。

         <実践留意点に関して>

          ◆ 相手を想定した必要事項の列記

            実際の相手を想定して必要事項を書出すことにより実践の手かがりとします。

          ◆ 正列記内容展開方法の整理

            列記内容を展開するときの行動計画を書出すことにより実践の手がかりとします。

       ④ 研修後フォローのポイント

         教育研修での学習が実務実戦に結実するようSD、OJTに展開してもらいます。

         <SDへの展開>

          受講者本人の自己啓発課題と実践の計画・経過・結果を上司経由で人事へ報告

         <OJTへの展開>

          部下に対するOJTのテーマ・計画・経過・結果を上司経由で人事へ報告


  
   2.その他のコンピテンシー事例

     活用方法を整理/実行してみましょう。

    
   1)顧客指向性

      (1) 定義

        顧客や市場に関心を持ち顧客の立場で考えその上で自らが顧客に何を提供できるかを
       考え実行する能力。

      (2) 行動特性事例

        ① CSを高める具体策を考えて実行し意見の食い違いがあっても迎合せず率直な意見
         具申をしている。
        ② 顧客の質問・要望・不満には顧客の意に沿うスピ-ドと内容で対応すべく努力して
         いる。
        ③ 顧客の性格・趣味・嗜好・得手・不得手を把握、デ-タ化して相手に応じた接し方を
         考えて行動している。
        ④ 顧客との約束は必ず守り、できない約束をしない。
        ⑤ 顧客とのインフォ-マルな関係には深入りしいようにしている。


   2)自制力

     (1) 定義

        いついかなる状況でも冷静さを失わず自分の言動をコントロ-ルできる能力。

     (2) 行動特性事例

        ① 感情的非難をぶつけてくる相手には沈黙で対応し相手が黙るまで発言しない。
        ② 感情的に他人のミスを責めず、先ず善後策を確認し、次にミスの原因を確認して善後
         策を検証している。
        ③ 自分の自慢話や大言壮語を慎んでいる。
        ④ 相手に対する過度の期待や失望を表に出さない。
        ⑤ 私憤で物事を判断したり、行動を起こさない。

 
   3)人材育成力

     (1) 定義

        組織が必要とする人材を計画的、継続的に育成する能力。

     (2) 行動特性事例

        ① 部下に期待される人材要件を相手に明示している。
        ② 部下の能力/適性レベルに応じた指導育成目標と対策を整理している。
        ③ 部下に対する指導育成対策を計画的、継続的に実行している。
        ④ 部下に対して人事考課結果をフィ-ドバックし部下の自己啓発を促進している。
        ⑤ 組織の人材育成環境を点検し阻害要因の除去とより良い環境形成に努めている。

 
   4)徹底性

     (1) 定義

        大筋で良しとするのではなく細部にまで神経を遣い完璧性にこだわり最後まで手を抜か
       ない緊張感の持続力。

      (2) 行動特性事例

        ① 担当職務におけるミスの内容と回数、原因を自らデ-タ化し自戒している。
        ② 自分が点検・修正すべき他人の仕事については相手に嫌われることを恐れずミス・ロス
         を指摘している。
        ③ 他人よりも完成度の高い仕事ができるように努力と創意工夫を惜しまず行動している。
        ④ 仕事の具体的な完成イメ-ジを描いて行動している。
        ⑤ 同じミス・ロスを繰返さないよう失敗原因を究明し再発防止努力をしている。

 
   5)自発性

     (1) 定義

        他人から与えられるアメとムチで動くのではなく自ら進んで物事に取組む能力。

      (2) 行動特性事例

        ① 相手の望むことを言われる前に察知してその意に沿うように行動している。
        ② 出る杭を打つより出る杭を伸ばす気持ちで他人の積極的な行動を肯定している。
        ③ 自分の行動が突出やでしゃばりとして誤解や抵抗を受けないように上司、関係者への
         説明・根回しをしている。
        ④ 自分の立場で率先垂範すべき物事を認識して実行している。
        ⑤ 部下の自発性を活性化するために前向きのチャレンジを誉め失敗を責めず善後策を
         アドバイスしている。

  
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