企業経営の組織/人事マネジメントを考える
 
 
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 No28.昇格要件の整備ポイント

 
       
   レジュメ
   組織人事管理に機能する昇格要件の整備ポイントについて事例解説いた
   します。

 
    1.
等級区分の設定ポイント
    2.人材要件の整備ポイント
    3.昇格審査基準の整備ポイント

 
    
   視点
 
    昇格要件には組織人事管理の実効性を担保する上で以下3点の機能があります。

      1.人事処遇基準の形成

        等級区分の過多過少を合理化することにより職制インフレによる賃金コストの肥大化や
        昇格停滞による処遇の硬直化を防ぎ適正人事処遇のベースを形成する機能

      2.人材管理基準の形成

        組織人材管理のガイドラインとして各等級職位の人材定義と育成要件を確立することに
        より人材育成と職能の機能不全を防ぎ人材管理を合理化する機能

      3.人材審査基準の形成

        昇格審査手続きを確立することにより適格者が昇格できずに非適格者が昇格したりその
        時々の状況で審査がブレる、情実人事に陥る、といったことを防ぎ従業員のモラール/
        モチベーションと人材スクリーニングの的確性を保全する機能

    ここではこの3点の機能に沿ってその整備ポイントを考えていきます

 
 
 
    
  1.等級区分の設定ポイント

    等級区分の設定は、通常、最初に単位組織の階層に応じて基準職位とそのジョブサイズを区分し
    次にジョブサイズに応じて等級区分を設定するというアプローチがとられます。

    例えば、単位組織が「部」「課」「係」「班」ということであれば基準職位の区分は「部長」「課長」「係
    長」「班長」「係員」となり、「部長」のジョブサイズが本社の部長と支店の部長で異なったり本社の
    部長でも●●部と▲▲部では異なるといった場合は「部長1級」「部長2級」「部長3級」のように等級
    区分が設定されます。
 
    
   1)単位組織階層の過不足チェック
 
    以下の視点から単位組織階層の過不足を点検、補正します。
 
    (1) 単位組織フラット化のチェック

      例えば、「部」と「課」の間にある「室」を「部」又は「課」に併合したり「課」の下にある「係」
      を「課」に併合して組織をフラット化できないか、 以下の点をチェックします。

      ① 併合せずに存続することによる業務上のデメリットとコスト
      ② 併合することによる業務上のデメリットとコスト
      ③ ①>②ならば併合、①<②ならば存続

    (2) 単位組織多層化のチェック
      
      例えば、「部」の下に「課」がなかったり「課」の下に「係」や「班」がない状態で必要業務の
      質量に対応できているか、以下の点をチェックします。

      ① 新たな単位組織を設けず現行体制を存続することによる業務上のデメリットとコスト
      ② 新たな単位組織を設けることによる業務上のデメリットとコスト
      ③ ①>②ならば新設、①<②ならば存続
 
 
   2)基準職位とジョブサイズ区分の過不足チェック
 
    以下の視点から基準職位階層とジョブサイズ区分の過不足を点検、補正します

    
(1) 中間職制の非等級化
 
      副課長、課長補佐、課長代理等の中間職制は等級過多とならないよう基準職位には
      組込まず呼称とし、処遇格差が必要な場合には暫定的手当で対応します。

    (2) ジョブサイズの区分

      1基準職位におけるジョブサイズの区分は等級過多と処遇/異動基準の混乱を防ぐ
      よう最大でも3区分程度を限度とします。
 
 
 
    
  2.人材要件の整備ポイント
 
    人材要件の整備は、通常、最初に等級区分ごとに当該基準職位のミッションを定義し次にその
    遂行を担保する人材育成要件を整備するというアプローチがとられます。
 
    
   1)ミッションの定義
 
    組織における位置づけと役割、行動要件、対応業務、責任権限を規定します。

    (1) 組織における位置づけと役割の規定

      当該基準職位の単位組織における位置づけと基本的な役割を定義します。

      例:課長職1級

        本社部門における課相当組織の業務管理責任者として担当組織の所定業務成果
        達成に向けた組織業務の目標・対策・方針・計画を策定しその実行管理を行うこと。

    (2) 行動要件の規定

      上記役割遂行において実践すべき行動内容を記述化します。

      例:課長職1級

         ① 担当組織を取巻く業務環境を分析し業務機能の遂行に影響を与える情報を的確
           に把握・活用する。
         ② 上司に対し担当組織業務の目標・対策・方針・計画を策定内容と進捗管理状況の 
           報 告・連絡・相談を適切に行う。
         ③ 担当組織業務の目標・対策・方針・計画を効率的に実行できるよう業務/作業の
           分担と実施方法を適切に管理する。
         … etc.

    (3) 責任権限の規定

      役割と行動要件の遂行に伴う責任権限分掌を設定します。
 
 
  
   2)人材育成要件の構築
 
    定義されたミッションの実践に必要な知識・認識・スキルを形成/強化するための階層別・
    部門別教育研修とジョブローテーションの内容/方法を規定します。
 
 
 
    
  3.昇格審査基準の整備ポイント
 
    昇格は在籍等級職位における「卒業要件」と昇格等級職位への「入学要件」をクリアする必要が
    あり、各々以下の点に留意して整備します。
 
    
   1)在籍等級職位における「卒業要件」の定義
 
    在籍等級職位の人材要件をクリアできているか、審査基準として以下の事項を整備します。

    (1) 昇格最短滞留年数(=キャリア形成期間)

       次の視点から必要最短年数を設定します。

       ① 当該ミッションをクリアして後進に伝承・指導できるようにには最低何年を要するか。
       ② 所定の教育研修を修了するためには最低何年を要するか。
       ③ 所定のジョブローテーションを完了するまでに最低何年を要するか。

    (2) 人材育成要件の修了

       次の点を条件とします。

       ① 所定の階層別・部門別教育研修を修了していること。
       ② 所定のジョブローテーションを完了していること
    
 
    (3) 人事評価成績

       次の視点から昇格前最短滞留期間での人事評価成績のボーダーラインを設定します。

       ① 当該ミッションにおける所定成果責任の達成度
       ② 当該ミッションにおける所定行動要件の実践度
 

  
   2)昇格等級職位への「入学要件」の定義
 
    昇格等級職位のミッションに対する適応ポテンシャルがあるか、審査基準として以下の事項
    を整備します。

    (1) 昇格等級職位のミッションに関する認識形成

      昇格前に次の方法により上位等級職位のミッションに関する認識を形成します。

      ① 上位等級職位のミッションに関する教育研修を行っておく。
      ② ジョプローテーションと権限委譲により上位等級職位のミッションを経験させる。

    (2) 審査基準の作成と運用

      公正的確な審査が行えるよう次の点に留意します。

      ① 試験官個々の主観や情実に流されないよう事前に試験問題と解答、面接要領、合否
        ボーダーラインを整備しておく。
      ② 試験問題と解答は奇を衒わず上記(1)①②の学習経験から答えられる内容とし、ミッ
        ションの認識、耐性、実践思考力を審査できるものとする

 
 
  
    
 

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〒170-0005 東京都豊島区南大塚1-21-11 ジェイシティ南大塚503
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